006 Mezzadro stool / メッツァドロスツール
プレス成形されたトラクターの座と上下逆さまにした支柱、自転車用のちょうナットとすりこぎのような形のブナ材の棒という4つの要素で構成されたこのスツールは、既存品を使って新しい用途の製品を作り出す、カスティリオーニ兄弟のデザインへの取り組みのひとつを端的にあらわす例です。
デュシャンの後継者とも呼べる、自転車のサドルを使った可動スツール『Sella』や車のヘッドランプで作られた照明器具『Toio』など、ほぼ同時期にカスティリオーニ兄弟が発表した他のデザインとともに、遊びごころに溢れるデザインであり、洗練されたウィットと時代に沿ったデザイン思考から生まれたものといえます。
1957年のミラノ・トリエンナーレ展にて発表され、同年の『今日の住まいの色と形』と題される、コモ湖畔のオルモ邸での展示会で、居間のインスタレーションに使われました。