004 Hill House 1 chair / ヒルハウス1チェア
ヒルハウスはグラスゴーの郊外の海を見下ろす丘の上にある、出版社を経営した家族の家で1903年に着工されました。当時の流行だったアールヌーボー様式から一線を画す、近代のデザインを最初に体現した設計でした。
マッキントッシュはこの家のドアハンドルやカーペットの模様、壁の装飾など小さなディテールにいたるまですべてデザインし、この時代としてはめずらしい真っ白な壁が特徴です。
この椅子は1904年に主寝室のためにデザインされ、その繊細な部材や垂直に立ち上がる背、小さな座面などから、座るための椅子ではなく、部屋のデザインとの均衡をたもった彫刻作品として生まれたことがわかります。
マッキントッシュがこの家のためにデザインした他の家具とも共通した、彼のそれまでのフェミニンな曲線を使ったデザインとはちがう、幾何学的な要素で構成された椅子のデザインに、建築家が当時傾倒していた日本のアートや建築からの影響がうかがえます。