005 Plywood chair / プライウッドチェア
化粧合板と木ネジだけで構成されたこの椅子は、ベルリンで開催された『Some New Items for the House』という展覧会のためにデザインされました。
「空間にいくつかのオブジェを置く事で、自然に室内空間が出来上がることを意図した」とモリソン氏自身が語るように、この展示は過剰なデザインで人目にとまることをあえて避け、控えめでもったいぶらないアイテムによってリアルな室内を構成する試みでした。
モリソン氏のデザインはいつも必然によって生まれ、この時も手元にあった電動のこぎりと、造船工のための曲線定規だけを使い、合板から部材を切り出してこの造形が作られました。
この椅子は、背にフラットな面がないことが特徴のひとつです。最初の展示の際には、背板のあるバージョンも同時に発表されましたが、「座り心地は良いけれど、わくわくしない」との理由から、今のデザインが選ばれました。ただ、座り心地への考慮はあり、座面とその下にある構造の部分にある小さなすき間が、座った時の当たりを緩和するクッションの役割をします。
80年代の装飾過剰なデザインへの反動となったこの展示以降、この椅子は90年代に広まるミニマルなデザインを代表する作品となり、のちにヴィトラ社から発売され最近まで販売されていました。